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◆ はじめに ◆
今回は、数学動画教材1108_01「テーマ:項を並べた式のよさが理解できる」の内容について少し詳しく説明します。
中学校数学を学ぶ人が、動画教材を見てからノートにまとめるときに参考になるような内容を目指すとともに、教える人の目線でも参考になるように考えて記事を書いたつもりです。いずれも2πr(にーぱいあーる)の見解でしかないのですが、よかったら参考にしてください。
また、この動画教材を使った自分なりの勉強の仕方で迷っているときは、ブログ「動画教材を使った勉強の仕方」を参考にしてください。サイト内検索で探す場合は、カテゴリー「勉強の仕方」で検索するとすぐ見つかります。アーカイブ(月単位)ならば「2018 6月」で検索してください。
動画教材へのリンク 1108_01_項を並べた式のよさが理解できる_説明_by_2πr(にーぱいあーる)
動画教材へのリンク 1108_01_項を並べた式のよさが理解できる_練習問題_by_2πr(にーぱいあーる)
◆ 項を並べた式のよさ ◆
今回のテーマのねらいは、「項を並べた式はこんな理由で便利なんだ」と納得してもらうことです。「項を並べた式のよさ」については、動画教材で詳しく説明しています。納得するまで説明動画のスライドをじっくり見てください。
ここでは、この動画教材のポイントをもう一度確認します。
最も大切なことは、「たとえひき算に見えても加法なのだからいろいろ工夫ができる」ということが便利だと感じてもらえるかどうかです。
そのために、いろいろな例を説明しました。
そして、その工夫が「加法の性質」があるからできるということを理解してもらうことも大きなポイントです。
「加法の交換法則」、「加法の結合法則」は用語としても重要ですが、これらを使うと「3つ以上の数の加法は、自由に2つの数を選んでから計算してもよい」という性質が生まれることが最も重要です。
これは、「項が並んだ式は、自由に順番を入れ替えてもよい」という性質といってもかまいません。
この性質があるからこそ、動画教材で紹介したような工夫ができるのです。
そして、この自由さはひき算にはありません!
ちなみに、乗法(かけ算)にも交換法則と結合法則があるので、必ず「加法の~法則」といいましょう。
乗法にも加法と同じような自由さがあります。このことについてはもう少し後のテーマでお話しします。もちろん、除法(わり算)には乗法のような自由さはありません (^^ゞ
項を並べた式の自由さがあるから「計算が楽になる」と感じるかどうかは、人によって違うと思います。
そこで、説明動画の最後のスライドでは「項を並べた式の方が工夫して計算できることはわかるでしょ?」と言い直しています。
ここには、今は感じなくてもいいが、どんどん計算をしていくうちに計算が楽になることを感じてくれるばすだ、という気持ちが込められています。
とりあえず今は、計算するときに少しでも楽になるように工夫してみてください。そうして、余裕がでてくる頃には「計算が楽になる」ことが実感できると思います。
◆ 項はカードと考える! ◆
「項を並べた式」には、「自由に順番を入れ替えてよい」、「どの数から計算してもよい」という性質があることについて、もう少し詳しく見てみます。
説明動画に 1+3+5 の計算を例に、自由に2つの数を選んで最初の計算をしてよいことを説明するスライドがあります。
左側の
1+3+5
=4+5
=9
は、左側から計算する原則にしたがって計算して、1と3を先に計算してよいことを表しています。
真ん中の
1+3+5
=1+5+3
=6+3
=9
は、加法の交換法則を1回使って3と5を交換できることから、1と5を先に計算してよいことを表しています。
右側の
1+3+5
=3+1+5
=3+5+1
=8+1
=9
は、2回加法の交換法則を使っています。
1回目は1と3を交換し、2回目は1と5を交換して、3+5+1 の式に変身できることから、3と5を先に計算してもよいことを表しています。
このように、場合分けをして考えることで、 1+3+5 は、1と3を先に計算しても、1と5を先に計算しても、3と5を先に計算してもよいことがわかるのです。そして、結果的に「1と3と5のどの2つの数から計算してもよい=自由」ということになります。
そして、くどいようですが、交換法則を使うと 1.3.5 の順番は自由に入れ替えてもいいことがわかります。
まるで、数字を書いたカードを並べて、そのカードを入れ替えている感じです。
これが「項を並べた式」のすばらしいところです。
「項」をカードと考えて自由に順番を入れ替えるイメージを持つと、これからの計算にとても役立ちます。ぜひこうしたイメージを持ってください。
イメージを持ってもらうために、1108練習問題動画の2.(4)の問題を使って オマケ動画を制作しました。お遊び程度の簡単なものですが、見てやってください (^_^)v
◆ 本当のテクニック ◆
「項を並べた式」で楽をして計算しようとするときに、多少なりともテクニックがあります。
動画教材でも触れていますが、整理してみましょう。
一つ目のテクニックは、練習問題動画のほとんどの問題に使われている
◎「異符号の和」よりも「同符号の和」を先に計算する
というテクニックです。
ほとんどの人は「同符号の和」の方が計算が楽だと感じていることから、このようなテクニックがあります。
もちろん、「異符号の和」の方が計算が楽と感じている人は、「異符号の和」を先に計算してかまいません。
二つ目のテクニックは、
◎ 計算して 0 になるものを探す
というものです。
1.(1),(2) や 2.(1),(2) で使われています。
2.(4)
-4+2-5+3
の別解でも使われています。これは上級者向けテクニックなので詳しく見てみましょう。
ポイントは、「+2と+3で+5、これと-5を計算すると0になる!」ことに気づく・・・ことではありません。
本当のポイントは、
「頭の中で、たくさんの計算方法を考えて比べることができる」ことです。
-4+2-5+3
=-4-5+2+3
=-9+5
=-4
とした方が楽か?
-4+2-5+3
=-4-5+2+3
=-4+5+5
=-4+0
=-4
とした方が楽か?
-4+2-5+3
=-2-2
=-4
とやるのも楽かも・・・
と、いろいろな計算方法を思い浮かべながら、どれを選択するか決めることができることが本当テクニックだと思います。
このテクニックは、影のテクニックといったところでとしょうか。
最後に、もうひとつテクニックを紹介します。
これは好き嫌いがあるので無理におすすめはしません。「こんなテクニックもあるんだ」程度に聞いておいてください。
では、そのテクニックとはこんな感じです。
◎ 計算して10や-10などの後の計算が楽になりそうな数字を選ぶ
どうでしょう?
ピンときましたか?
1.(5),(6) や 2.(5),(6) などがその例です。
2.(5) 8-99+9 では、
「-99+9を先に計算して、8-90を計算した方が、8-99を先に計算して-91+9を計算するよりも楽だ」と考えているということです。
あなたはどう考えますか?
以上、3つの◎テクニックを紹介しましたが、いろいろな計算方法を考えて途中計算を決めることこそが「本当のテクニック(影のテクニック)」です。
この「本当のテクニック」こそがとても大切なので、「頭の中で、どんな工夫がより楽なのかを比べられることが大切」という文章を、3枚ものスライドに入れたのです。
以上のことを意識して、しっかり計算練習をしましょう。
頑張ればきっとスラスラできるようになります。もちろん、計算も楽になります!
今回は、以上です。
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